高能力でも勉強が辛い?ギフテッドと不登校の関係

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うちの息子は、幼稚園のときから行き渋りの傾向があり、小学校になってからは本格的に不登校に移行しました。

息子は自閉症スペクトラムと診断されています。
こだわりが強く、興味のある勉強は積極的に学校で学習するスピードやレベルを超えて、自分から突っ込んでいくことができます。

でも、一方で自分の興味のない分野については頑張れません。
例えば、漢字の成り立ちや使われ方について調べることは好きですが、漢字を手書きで正確に書くことには興味がなく、テストでは小さなミスが多いです。

これらの特徴は、「ギフテッドで不登校」のお子さんたちにも非常に多いのだそうです。
うちの子は知能指数は平均範囲ですが、不登校の原因について、ギフテッドで困りごとがあるお子さんと共通するところもあり、また違うところもあるようです。

こちらの記事では、ギフテッドのお子さんが不登校になる理由や、その原因となる特性について解説します。

知能が高いのに学校で上手く適応できないお子さんへの理解や、ギフテッドに近い特性をもつお子さんの問題解決のヒントになれば幸いです。

ギフテッドとは? 2Eタイプは発達障害と関連がある?

ギフテッド、あるいはタレンテッドと呼ばれるお子さんたちがいます。
ギフテッドとは、
生まれつき特定の能力が非常に突出している
お子さんのことです。

ギフテッドは大きく2つのタイプに分けることができます。

1つ目のタイプは、まんべんなく知能が高い「英才型」と呼ばれるタイプです。
英才型の場合、知能のバランスが取れているため、どちらかというと環境適応能力が高く才能を発揮しやすい特徴があります。

2つ目のタイプは、2Eと呼ばれるタイプです。

2Eとは「twice-exceptional」を表し、「二重に例外」つまりギフテッドの才能と発達障害の両方を持つお子さんたちを指します。
知能指数を見ると、平均すると標準より高い水準を示しますが、一方で各知能間の凸凹が大きいのが特徴です。

知能の凸凹のため、比較的日常生活で問題を抱えやすいとされますが、知性自体は高いため補うことができているケースも少なからず存在します。

知能が高くて不登校になる理由とは

ギフテッドのお子さんは、英才型であれ2E型であれ、実際は学校生活で困りごとを持つ場合が多いことが近年分かってきました。

しかし、高い知能でそれをカバーしてしまうために、周囲に問題を気付かれにくいのです。
そのため、問題が表に出てきたときは、既に深刻な精神的状況や不適応に陥っている場合も少なくないと言われます。

ギフテッドのお子さんが学校で抱える困りごとは、どんな特性や要因から表れてくるのでしょうか。

知的レベル・言語能力が高く、他のお子さんや先生と合わない

ギフテッドのお子さんは、知的好奇心が強く、言語発達も早熟な場合が多く見られます。

自分の興味のある分野について徹底的に調べたり学習する一方、自分の興味のない分野には食指が動きにくい特性があります。
そのため、他のお子さんと話をしてもお互い面白くない状況になりやすいです。

また、暗算や漢字練習などの反復学習が苦手でできないお子さんも多いです。

学校でやりたくない勉強や課題があったとき、言語能力を駆使してやらずになんとか言葉で切り抜けようとする場合もあります。
先生に対して理屈をこね、やらなくてはならないことを回避しようとするので、「真面目さがない」「反省していない」など、良くない評価を受けてしまいます。

その一方で、自分の興味のある分野については生き生きと勉強・活動するので、
好きなことだけやり、その他のことは怠けている」と思われがちです。

しかし、実際は学習への困難やLDを抱えていても、知能が高いせいでカバーされ、本人の困りごとが見えづらいお子さんも多いのです。

学校の勉強が退屈である、という悩みを抱える場合もあります。
自分が既にできている勉強について、延々と授業を聞かされるのは苦痛でもありますし、その子がさらに伸びる機会を奪っているとも言えます。

その場合は、先生と相談の上、授業中にやるべきことが早く終わった場合は内職をしたり読書をしても良いとの許可があれば精神的に楽になるお子さんもおられるでしょう。

精神エネルギーが高く、過活動になりやすい

精神運動性が高いお子さんの場合、じっとしているのが難しい場合があります。
授業中歩きまわったり、読書や食事中にバランスボールに乗らないと着席していられなかったり。

ギフテッドのお子さんの場合は、決して集中していない訳ではなく動くことで高い精神的エネルギーを調整し、その子なりに集中を保っている状態なのだそうです。

授業中、手元で落書きや指遊びをして紛らわせているお子さんもいます。
決して遊んでいるのではなく、授業に集中しようとしているのだということを周囲が理解してあげる必要があります。

また、「マインド・ワンダリング」と言って、何かしているとき、全く別のことを考えてしまう現象があります。
心ここにあらず、という状態のことですね。

ギフテッドのお子さんの場合、授業中の マインド・ワンダリング が多くなる傾向にあるそうです。

マインド・ワンダリング自体は通常の人でも、一日の活動のうち50%以上の時間に及ぶそうです。
何か作業中にフワッと別のことを考えてしまうのは、誰しも経験があることだと思います。

しかしギフテッドのお子さんのマインド・ワンダリングは非常に鋭く深く知的好奇心を掘り下げるのが特徴です。
実際はそのときの学習内容について集中して考えた結果なのですが、そのときの取り組みと関係ないことまで気持ちがどんどん行ってしまい、結果集中してないと思われる場合があります。

感覚が鋭敏すぎる

視覚・聴覚・視覚など、五感の感覚が鋭いお子さんが多いです。
五感から来る感覚を強く感じることができるということは、豊かな感覚経験を持てるということでもあり、必ずしも悪いことではありません。

しかし、学校では均一な学習状況が重視されるため、感覚が強すぎたときにそれを避ける行動をすることが難しい場合があります。
例えば、聴覚が鋭いお子さんがいたとしても、音楽の授業のときその子に適した音量で音楽を流してもらうことは難しいでしょう。
しかし、周囲の理解があれば、音楽の授業だけ自習にしてもらう、音量の調節できるイヤフォンを使うなどの対応が可能です。
(実際は他のお子さんの目が気になって、イヤフォンやイヤーマフを使いたがらないお子さんがいることにも注意が必要です)

また、お子さんの年齢が低い場合には、不快さがあっても言葉で表現することが難しく、周りに気付かれにくい場合もあります。

親御さんが家庭で感じた過敏さがあれば、それは学校ではもっと大きな困りごとになっている可能性があります。
学校と共有して改善していく工夫が必要です。

不登校を解消すべきか、ホームスクーリングでも大丈夫か

不登校を抱えるギフテッドのお子さんの場合、問題をどうやって解決していくべきなのでしょうか。

お子さんが登校したがらないとき、そこには必ず原因があります。
その原因を解決しないまま、周囲の人の励ましやトークンなどで登校を促しても、その登校はお子さんを傷つけるものとなってしまうでしょう。

まずは、お子さんの特性を把握している親御さんや周囲の方、学校生活を実際に目にしている担任の先生、そしてお子さん自身で「今の実際の困りごと」をオープンな立場で話し合い、共有することが必要です。
まずそこから始めることで、お子さん自身に適したベストの対応策が出てくるはずです。

お子さんの困りごとが、通常学級ではなく、特別支援学級や通級で改善する場合もあります。
知能の高いお子さんを通常学級から外すことに抵抗のある親御さんや先生もいらっしゃるでしょうが、
本人にとって必要だと判断されれば情緒級などで無理のない学校生活を送らせてあげる方が良い場合もあります。
支援学級で小学校・中学校を過ごしたのち、通信制高校を経て大学へ進むパターンのお子さんもおられるそうです。

知能指数に凸凹が少ないお子さんの場合は、ホームスクーリングで学習に対応できる場合も少なからずあるようです。
「社会性が身につかないのではないか」「生活リズムが作れないのではないか」
といった懸念もありますが、ここ数年ホームスクーリングを実践しているご家庭は着実に増えていますし、サポート団体や参考書籍も増えています。

また子供さんの興味関心に基づいて毎日の授業カリキュラムを作ることができるオンラインスクール等も増えていますので、前向きな考えで検討してみてはと思います。

本人の才能を活かすことが最も重要

今回は、ギフテッドと呼ばれる高い知能を持ちながらも、不登校になってしまうお子さんについてまとめました。

学校への不適応を起こす原因として、ASDやADHDのお子さんと近い症状が複数見られます。
しかし、ギフテッドのお子さんの場合はその中心に「高い精神エネルギー」や「選択性の強い知的好奇心」があるのが特徴です。

ギフテッドと発達障害の両方を指摘されているお子さんもおられますし、ギフテッドと発達障害の間自体にも近しい部分が指摘されています。
そのお子さんについて、的確な診断を受けることで、より適切なサポートができるようになるでしょう。

しかし、診断名よりも大事なのは、そのお子さんひとりひとりの特性についての理解です。

ギフテッドのお子さんを伸ばすためには、苦手なところに着目するよりも得意なところを活かす工夫が大事だと言われています。

どんな環境がお子さんを守り、そして伸ばすのか。
お子さんの願いに応じて、社会のいろいろなところに居場所を作ってあげられるような社会になればいいですね。

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