息子、ひとりでバスに乗る

バスの中 Uncategorized

小4の息子は積極奇異型自閉症スペクトラムを持っています。

小さい頃から母子分離不安が強い子でした。
小学生に上がるくらいまでは母親が家の中のどこにいるか探して泣く子だったので、私は今でもトイレのドアを開けたまま用を済ます癖が抜けません…。

最近はだいぶお留守番もできるようになってきたり、少しずつ母親から離れることができるようになってきました。
でも、親から離れて町内から出たことはありませんでした。

そんな息子が、一ヶ月くらい前から
「僕もいつか、バスや電車で遠くへ出掛けるかも」
「そうしたら、出掛けた場所からママに電話を掛けたい」

などと、くり返し言い始めたのです。

そして、二週間後彼はそれを実現させましたよ。
びっくりです(汗)

動物園へ行きたい

「ママ、僕ひとりでバスに乗って動物園に行ってみる」
と息子が言い始めました。

息子と私は何度か一緒にバスに乗ったことがあります。
ふだんは自家用車でのお出かけが多いですが、たまにバスに乗ってあの高い座席から景色を見るのは気分が変わって楽しいものですね。

市立動物園には私や夫と一緒に何度か出掛けたことがあります。
その前の週もちょうど出掛けたばかりでした。

うちから動物園へ直行のバスはありません。
まず最寄りの駅までバスで行き、そこにあるバス・ステーションから動物園行きのバスが出ていた事を思い出しました。

動物園行きのバスは廃止

「ママ、僕は家から駅までのバスの時間を調べるから、駅から動物園へのバスの時間を調べておいてね」
ネットで調べましたが、どうやら動物園行きのバスは数年前に廃止になってしまったようです。

動物園のサイトの「アクセス」ページを見ましたが「動物園行きのバスはありませんので自家用車でご来園ください」という案内でした。
近隣の駅から徒歩で約50分、駅からはタクシーで約40分。

「ごめんね、動物園行きのバスはなくなってしまったみたい」

息子は目を赤くして黙っていました。

駅へ

しかし、走り出した息子の思いは止まりませんでした。
翌日、
「ママ、僕ひとりで駅まで行って遊んでくる。駅の近くでママに電話するね。」
と。
おお、いいね。
駅の周りは昔のお城やお散歩コース、博物館などがあるから、きっと楽しいと思うよ。

公衆電話を私に掛けてお話する、というのが今回の旅の重要なイベントだそうなので、
電話の位置はふたりできちんと確認しました。

公衆電話の位置はNTTのサイトを見て確認しました。
日本の公衆電話は総務省の規定で
「社会生活上の安全及び戸外における最低限の通信手段を確保する観点から、市街地においては概ね500m四方に1台、それ以外の地域においては概ね1km四方に1台という基準に基づき設置される公衆電話(第一種公衆電話)をいいます。」
となっています。
つまり、街の中であればちょっと歩けば見つかる距離で公衆電話が設置されていることになります。

公衆電話というと、息子は幼児のころドアや鍵が大好きで、ボックス型の公衆電話を見つけるとそのドアを何十回も開け閉めしては喜んでいた事を思い出します。
(疲れた…)

次の休日、息子はお弁当と水筒をリュックに詰めました。
家の前のバス停に行って、一番うしろの席に乗った息子と手を振り合いました。

こんな日が来るんだな、結構いきなり来るんだな、と思いました。

ん、電話は?

息子が出掛けて約4時間。
「そろそろ帰ってくるかな?」
でも、電話を掛けると言っていたな、電話を切ってからすぐにバスに乗っても30分は掛かるから、少し出掛けても大丈夫かも。

図書館に返却する予定の本があったので、ちょっとそこまでだからと庭に出ました。

すると、向こうからテクテク歩いてくる姿が見えます。
「おかえり~!良く帰ってきたね!」
ニコニコ顔が抱きついて来ます。

「ママ、おみやげだよ」
駅ビルのパンやさんでクロワッサンを買ってきてくれました。
「ありがと、一緒に食べようね」

「そう言えば、電話は掛けなかったの?」

息子、下を向いてしまいました。
「だって、何回お金を入れても、下へ落ちてきちゃう…」
「あー、そうか。先に受話器を上げるとお金が落ちてこないのよ。教えてあげてたら良かったね」
「分からなかった…他のお金に替えてみたりはしたんだけど。」

悪いことがあったのに気分を戻すことができた

ASDの子の中にはひとつの悪い記憶にこだわってしまう子も多いようです。
お出かけなど楽しい経験をしても、その中でひとつでも悪い記憶があるとその経験全体を悪く思ってしまったり。

うちの子も、今回電話が掛けられなかった事に引きずられてしまうかな、と心配でした。
しかし、「お城へ行けた」「とっても楽しかった」と笑顔でお話してくれました。

彼が成長したのか、それとも自分でやり切った経験が、良い・悪いを超えた感情を彼に与えてくれたのか。
ひとまず親としては子供の新しい行動と楽しそうな姿を嬉しく思いました。

その後、電話の話

その後、
「キッズ携帯が欲しい」
と言い始めました。
スマートフォンではなく、キッズ携帯で大丈夫だそうです。
(重要)

「友達はみんな持ってる」
「塾へ行く時とかに必要なんだって」
「僕塾へ行きたい」
と彼の中で話が展開していき…私も引きずられて。
あれよあれよと、近所で、発達障害に理解のある塾を見つけたのでそこに通うことになりました。
ちょうど計算とかで不安な点が出てきていたところだったんです。

しかし、塾の説明パンフレットに
「お家への連絡には塾の電話をお使いいただけます」
となっていまして。
電話はちょっと考慮中となりました。
塾が3ヶ月続いたらキッズ携帯契約にしても良いかなと、シールのトークンエコノミーを計画しています。

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